事業承継をするにあたり種類株式の発行

#商業登記

実際受けた事例

会社経営者の方より、会社の株式について子や孫への株式の譲渡は終わっているが、譲渡した株式については、議決権がなく、配当だけの株式にして欲しいとご相談がありました。
つまり、会社の事業承継を徐々に行うために会社経営に重要な議決権は、創業者社長に残しておく。一方で、子や孫に毎年金銭を配当するという経済的なメリットを与える反面、会社経営をするにあたり、株主総会にて「議決権を行使する」という経営への参加を制限したいという要望でした。これが、会社法(108条1項③号)で規定されている「無議決権株式」の発行です。

このように解決しました。

 まず、ご依頼頂く会社の状況を確認すると、発行している株式の種類は普通株式の1種類しかない会社でした。
 既に発行済みの株式を議決権のない株式にするには、「普通の株式」と「議決権のない株式」の2種類の株式を発行できるように会社の定款を変更します(定款変更)。
 また、現在発行している会社株式の一部についてのみ、「議決権のない株式」へと変更します。この場合は株主への影響が大きいことから、株主総会の決議だけで変更することは出来ず、株式の内容を変更することとなる各株主に個別に同意を得る必要があります(株主の同意)。
 上記の内容に沿う株主総会議事録等の書類の作成及び定款変更をして手続き終了(法人登記申請)。

担当者 Voice

今回は、譲渡した株式を一律に議決権のない株式にする手続きでした。多くの中小企業で課題として認識されている「事業承継」では、①議決権と②株式配当を分けて、この会社の後継者には議決権のある株式を承継させる一方で、後継者以外へは経営へ口出しできない、いわゆる「無議決権株式」を発行し、引き継ぐこととして議決権を後継者に集めることによる対策が可能です。
 株式会社では、保有する議決権数によって経営への影響力が決まります。つまり、後継者の持ち株数が少ない事により、事業承継後の経営に支障が生ずる恐れがあります。
 いきなり株主として全ての機能を承継するのではなく、創業者社長に経営権を残しながら徐々に経営権を承継していく方法、そして、会社経営に関わらない子や孫には、株式配当という経済的なメリットを承継することが可能となります。